はじめに
東京から福島県磐梯町へ移住して、約1か月が経ちました。
磐梯町の人口は、2026年6月30日時点で3,038人、1,165世帯です。人口約3,000人の町での暮らしが始まり、この1か月だけでも、東京にいた頃との違いを感じる場面がたくさんありました。
自然を感じる時間が増えた。
食べる野菜の種類が増えた。
人と顔を合わせ、言葉を交わす機会が増えた。
そして、東京にいた頃に時折感じていた、理由のはっきりしない焦りや不安も少なくなりました。
食費も私の場合は以前より抑えられ、体重にも変化がありました。
もちろん、磐梯町への移住をしたから、すべての人に同じ変化が起こるわけではありません。
今の環境が私自身に合っていたことや、食事、活動量、人との関係、仕事など、いくつもの要因が重なっているのだと思います。
それでも、「住む場所が変わることで、日々の選択や心身の感じ方まで変わることがある」ということを実感しています。
今回は、移住して約1か月の時点で感じた、私自身の暮らしの変化を率直に書いてみます。
磐梯町を選んだ経緯については、前回の記事でも詳しく紹介しています。
東京から磐梯町への移住を決めた理由を読む
東京では求めていた自然が、磐梯町では日常になった
自然は「会いに行くもの」だった
東京にいた頃、私にとって自然は**「会いに行くもの」**でした。
都会の中で、最も身近に自然を感じられたのは空です。
建物の間から空を眺める。
休みの日には公園へ行く。
時間が取れれば、自然の多い場所まで足を延ばす。
私が登山に夢中になったのも、自然の中に身を置けることが大きな理由でした。
木々の間を歩く。
土の上を踏む。
風の音を聞く。
山の中にいると、日々の疲れや頭の中にたまっていたものが、少しずつ外へ抜けていくような感覚がありました。
私にとっては「デトックス」という言葉がぴったりでした。
ただ、東京では自然に触れるために、自分で時間をつくり、そこまで出かける必要がありました。
自然は日常そのものというより、日常から少し離れるための場所だったのだと思います。
私が感じた「自然の純度」の違い
磐梯町へ来て、その関係が変わりました。
朝、家の外へ出たときの空気。
道の先に見える山。
周囲に広がる田畑や木々。
風に揺れる葉の音。
移動しているだけで目に入ってくる緑。
自然を感じるために、わざわざ予定を立てる必要がありません。
東京にも公園や木々はあり、私自身、何度も助けられてきました。
そのうえで、磐梯町で感じているのは、自然の「量」だけではなく、私が**「自然の純度」**と呼びたくなるような違いです。
人工的に区切られた自然を眺めるというより、自分の暮らしそのものが、山や田畑、空、風の中に置かれている感覚があります。
東京では自然が目的地だった。磐梯町では自然が暮らしの背景になった。
これが、私にとって大きな変化でした。
自由な時間そのものが増えたわけではありません。
仕事もありますし、人に会い、考え、行動する毎日です。
それでも、移動中に山を見る。鳥の声に気づく。夕方の空の変化を見る。
そんな小さな時間が、暮らしの中に増えました。
磐梯町への移住で変わった食生活と健康への向き合い方
野菜の「量」ではなく「種類」が増えた
磐梯町へ来て、身体にも変化がありました。
その一つが体重です。
ただし、体重が減ったことだけをもって「健康になった」と判断することはできません。
私が大きく変わったと感じているのは、健康への向き合い方そのものです。
東京にいた頃から、私は比較的よく野菜を食べていました。
理学療法士として身体に関わる仕事をしてきたこともあり、食事や運動、生活習慣は意識していました。
そのため、「地方へ来て野菜を食べ始めたから体重が減った」という単純な話ではありません。
変わったのは、食べる野菜の種類です。
農家さんと知り合い、
「これ、持っていきな」
と、採れた野菜をお裾分けしていただくこともあります。
普段なら自分で選ばなかった野菜をいただき、「どうやって食べよう」と考える。
その結果、自然と食卓に並ぶものの種類が増えました。
また、農業に興味を持てば、知り合った農家さんの仕事を手伝うこともできます。
買って食べるだけでなく、誰が、どこで、どのようにつくっているのかに触れられる。
これも私が感じている、地方で暮らす面白さの一つです。
私の場合、食費も下がった
食費も東京にいた頃より抑えられるようになりました。
これは「磐梯町なら誰でも食費が安くなる」という意味ではありません。
あくまで、私自身の現在の買い方や食生活での変化です。
地域の野菜を購入する機会が増えたことに加え、私が利用するスーパーでは夕方になると値引きされた商品に出会うことがあります。
半額だけではありません。
時には7割引きの商品を見つけたこともあります。
7割引きって、すごくないですか(笑)。
こうした日常の小さな発見も、今では暮らしの楽しみになっています。
体重の変化にはストレスも関係しているのか
もう一つ、私自身が気になっているのが「ストレス」です。
東京にいた頃、大きな問題が起きているわけではないのに、
「何かをしなければ」
「もっと前へ進まなければ」
という、理由のはっきりしない焦りや不安を感じることがありました。
磐梯町へ来てから、その感覚は以前より少なくなっています。
ストレスと食欲や体重には関係があります。
人間の身体には、ストレスに対応するときに働くコルチゾールというホルモンがあります。また、食欲には、空腹の感覚などに関わるグレリンや、身体に蓄えられたエネルギー量を脳へ知らせるレプチンなど、複数の仕組みが関係しています。
339人の成人を6か月追跡した研究では、慢性的なストレスや高いコルチゾールなどが、その後の体重増加と関連していました。ただし、これは「ストレスが減れば必ず痩せる」と示した研究ではありません。
私自身もホルモン検査をしているわけではありません。
そのため、
「磐梯町へ移住してストレスが減ったから痩せた」
とは断定できません。
食事内容、食べる量、活動量、睡眠、生活リズムなど、体重を左右する要因は複数あります。
ただ、私の生活では、
自然に触れる時間が増えた。
食べるものの種類が増えた。
身体を動かす機会が増えた。
以前より焦りを感じることが少なくなった。
そうした変化が重なっています。
東京では「健康のために何をするか」を考えて、意識的に時間をつくっていました。
磐梯町では、健康のための行動と日常生活との境目が、以前より小さくなったように感じています。
人とのつながりが日常の中にある磐梯町の暮らし
都会と地方で違った「コミュニティへの入り方」
磐梯町で感じるもう一つの変化が、人との距離です。
ただ、
「田舎の人は温かく、都会の人は冷たい」
という単純な話ではありません。
東京でも、同じ目的や趣味を持ったコミュニティへ入れば、人との関係は深まります。
私自身、東京で多くの人と出会い、大切な仲間もできました。
違うと感じるのは、人とつながるまでの仕組みです。
東京では、自分から興味のある場所やコミュニティへ出かけていくことで、人間関係が生まれることが多くありました。
一方で人口約3,000人の磐梯町では、暮らしているだけで、同じ人と再び会う機会があります。
例えばゴミステーションへ行き、誰かに会えば挨拶をする。
町のお祭りへ行けば、以前会った人と再会する。
町内の施設へ行けば、知っている顔に出会う。
知らない人だったとしても、一度挨拶をしたことから、新しい関係が始まることもあります。
東京のつながりが、自分から参加する**「能動的なつながり」だとすれば、磐梯町には暮らしていることで自然と生まれる「受動的なつながり」**もある。
今の私は、そんな違いを感じています。
もちろん、人との距離が近いことには、合う人もいれば、窮屈に感じる人もいるでしょう。
移住して約1か月の時点では、まだ私に見えていない部分もあります。
だからこそ、良い部分だけで判断せず、これからも暮らしながら知っていきたいと思っています。
自然に触れることとストレスの研究
私が感じている心の余白には、人とのつながりだけではなく、自然環境も関係しているのかもしれません。
自然への接触とストレスについて調べたシステマティックレビューでは、自然環境への接触が心理的・生理的なストレスの軽減と関連する研究が複数報告されています。
一方で、研究ごとの方法には違いがあり、「自然にいれば必ずストレスがなくなる」とまでは言えません。緑地とコルチゾールに関する別のレビューでも、良い関連を示す研究がある一方、より厳密な研究が必要だとされています。
だから私は、
「田舎だから健康になる」
とも、
「自然の中にいれば幸せになる」
とも言いたくありません。
ただ、自分に合う環境を知ることは、暮らしを考えるうえで大切なのではないか。
それは、この1か月で強く感じるようになったことです。
まとめ
磐梯町への移住から約1か月。
東京より便利なものが増えたわけではありません。
それでも、私の暮らしには増えたものがあります。
自然を見る時間。
食べる野菜の種類。
人と顔を合わせる機会。
そして、自分の心や身体の感覚に気づく時間です。
私の場合は、今の磐梯町という環境が、自分に合っているのだと思います。
だからといって、地方への移住を誰にでも勧めたいわけではありません。
都会の便利さや、多様な人や情報に触れられる環境が合う人もいます。
人との距離が近い暮らしを負担に感じる人もいるでしょう。
だからこそ、移住を決める前に、一度その土地へ行ってみる。
町を歩く。
地域で暮らす人と話す。
食べる。
働く場所を見る。
そして、そこで過ごしている自分が何を感じるのかを確かめてみる。
移住とは、「都会か地方か」という二択だけではなく、自分がどんな環境で、誰と、どのように暮らしたいのかを考えることなのかもしれません。
私自身も、まだ磐梯町を知っている途中です。
だからこそ、これからも移住者に近い目線から、磐梯町での暮らしや仕事、人との出会いを伝えていきたいと思っています。
Q&A
磐梯町の人口はどのくらいですか?
磐梯町が公表している2026年7月号の「磐梯弘報」によると、2026年6月30日時点で3,038人、1,165世帯です。人口は転入・転出・出生・死亡によって毎月変化するため、最新値は磐梯町公式情報を確認してください。
磐梯町へ移住すると食費は安くなりますか?
一概には言えません。
この記事で食費が下がったというのは、筆者個人の生活で起きた変化です。何を購入するか、外食頻度、世帯人数、利用店舗などによって大きく異なります。
自然の多い場所へ移住すればストレスは減りますか?
誰にでも同じ効果が出るとは言えません。
研究では、自然との接触とストレス軽減との関連が報告されていますが、生活環境、仕事、人間関係、本人の好みなど多くの要素が関係します。
磐梯町へ来て体重が減ったのは、ストレスが減ったからですか?
原因は特定できません。
ストレスと体重には関連がありますが、食事、活動量、睡眠なども影響します。この記事では、あくまで筆者自身の変化についての一つの考察として紹介しています。
移住を決めていなくても磐梯町を訪れていいですか?
もちろんです。
むしろ、移住を決断する前に町を訪れ、景色だけでなく、暮らす人や日常の環境に触れながら自分との相性を確かめることをおすすめします。
重要ポイントのまとめ
- 磐梯町の人口は2026年6月30日時点で3,038人
- 東京では「会いに行っていた自然」が、磐梯町では日常の背景になった
- 筆者の場合、野菜の種類が増え、食費や体重にも変化があった
- 健康や体重の変化を移住や自然だけの効果とは断定できない
- 町で暮らすことで、人との接点が自然に生まれる場面が増えた
- 移住前に現地を訪れ、自分と地域との相性を確かめることが大切
注意点
人口は毎月変動するため、記事公開後も最新の磐梯町公式情報を確認してください。
スーパーの値引き、野菜の価格、食費などは筆者の実体験であり、町内すべての店舗や家庭に共通するものではありません。
また、体重減少やストレスに関する記述は医療上の診断ではありません。自然環境への接触と健康には研究報告がありますが、個人差があります。
行動の案内
磐梯町での暮らしや仕事が少し気になった方は、SMOUTの「興味ある」からつながり、まずは移住を決めずに暮らしについて話してみてください。
参考文献一覧
- 磐梯町「磐梯弘報2026年7月号」
2026年6月30日時点の人口3,038人、世帯数1,165世帯を確認。また、地域おこし協力隊の紹介を掲載。 - SMOUT「移住して1か月。人口約3,000人の町で、東京より増えたもの」
2026年7月28日公開のリライト元記事。 - Chao A M, et al.「Stress, cortisol, and other appetite-related hormones」Obesity, 2017
慢性的なストレス、コルチゾール、食欲関連ホルモンと体重変化を調べた前向き研究。 - Shuda Q, et al.「Effect of nature exposure on perceived and physiologic stress」Complementary Therapies in Medicine, 2020
自然との接触と心理的・生理的ストレスについてまとめたシステマティックレビュー。 - Corazon S S, et al.「Greenspace Interventions, Stress and Cortisol」International Journal of Environmental Research and Public Health, 2021
緑地への接触とコルチゾールに関する研究を整理したレビュー。